平成29年度税制改正により、上場株式等に係る配当所得について所得税と住民税は別々の課税方式が選択できるようになりました。

 さらに令和3年税制改正により令和3年分以降の確定申告書の第二表に個人住民税に係る申告不要の欄が設けられたため、 この欄に〇をつければ所得税と住民税で異なる課税方式を選択するために市町村に別途住民税の申告書を提出する必要がなくなりました。 市町村によって住民税申告書の様式が異なり、この申告書は電子申告に対応していなかったこともあり、別途住民税の申告書の提出が 必要なくなったことは納税者の手間が省ける朗報です。

上場株式等の配当所得の申告方法は?

 もともと、上場株式等の配当所得については、①申告不要(申告しない:源泉徴収のみ)、②総合課税、③申告分離課税のいずれかを選択でき、所得税で選んだ課税方式が住民税の計算にも適用されていました。所得税とは別に住民税の課税方式を選ぶことにより節税となる納税者がいます。

どの課税方式を選ぶと有利か

 どの課税方式を選ぶと有利かの例を概算で比較してみます。

図1 配当金にかかる所得税・住民税の合計税率

配当金にかかる所得税・住民税の合計税率

※復興特別所得税は含みません。

 例1は所得税と住民税のどちらとも申告しない申告不要制度を選択した場合です。上場株式等の配当は受取り時にはすでに税金20%(所得税15%、住民税5%)が源泉徴収され天引きされているのであらためて申告しなくても済みます。投資家の多くはこのパターンが多いと思われますが、上記表からわかるように課税所得900万円以下の場合は、例3を選ぶのが有利になります。所得税は総合課税を選び、住民税は申告不要とする選択です。

 また、課税所得が1000万円前後以上ある高額所得者は所得税も住民税も申告しない例1を選択すると有利になることがわかります。

変わってくるのは住民税だけではないかも

 所得税や住民税の有利不利だけではなく、住民税について所得税と異なる申告をすることで、住民税の所得金額に基づき決められる医療費の負担割合を減らしたり、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者保険料などを下げることができる可能性もあります。

住民税の申告にあたっての注意

 平成29年度からは所得税の確定申告書とは別に、市町村に住民税の申告書を提出することにより所得税とは異なる配当所得の課税方式を住民税で選択できていました。
 しかし、令和3年税制改正により令和3年分以降の確定申告書の第二表 (下記参照) の一番下にある「〇住民税の関する」のところに 個人住民税に係る申告不要の欄が設けられました。この欄に〇をつけて確定申告書を税務署に提出すれば、所得税と住民税で異なる課税方式を選択するめに 市町村に別途住民税の申告書を提出する必要が令和3年分確定申告からなくなります。住民税を申告不要としたほうが有利な方のこの欄に〇をつけ忘れないように気をつけてください。

図2 確定申告書 第二表

資料の保存が大事

 配当所得を申告したほうが有利かもしれないと思われる方は、1年分の配当所得やその源泉徴収額がわかる配当の通知葉書や明細などの資料は捨てないで必ず保存しておきましょう(特に配当金が証券口座で受取りになっていない方は)。