個人事業の廃業をお考えの方へ

 個人事業主の皆様の中には、後継者がいなかったり売上が思うように上がらなかったりそろそろ廃業をご検討されている方も少なからずいらっしゃることと思います。  昨今、法人・個人に関わらず、いろいろな理由で事業の継続が困難となり事業をやめる廃業が増加しています。そこで、廃業での手続の進め方について考えてみます。

まず、廃業を考える前にもう一度考えてみましょう。

廃業することが自分にとってメリットになるのか。
廃業する原因は何か (年齢・体力の問題、売上、後継者や人手不足など)
廃業した場合にその後の生活はどうなるのか。

 現状を冷静に分析し何か対応策や改善の余地のある場合には事業を続けることもできます。それでもやはり廃業しようと思った場合にはM&Aによる事業承継も選択肢として残されています。

廃業を決めた後には、いろいろな手続きが必要となります。

1.税務署等への書類提出とその提出期限

(1)個人事業の開業・廃業等届出書1か月以内

(2)所得税の青色申告の取りやめ届出書青色申告をやめる年の翌年3月15日まで

理由の欄に 廃業であれば→「廃業のため」 法人設立によるもの→「法人なり」

(3)事業廃止届出書速やかに

消費税課税事業者または課税事業者選択届出を提出していた場合には必要です。

(4)給与支払い事務所等の開業・移転・廃止届出書1か月以内

従業員や専従者がいたりする場合には提出が必要です。

(5)その他

  • ◎前年の所得を確認し当年度予定納税がある場合には、予定納税の減額申請の提出
  • ◎前年の所得を確認し当年度事業税の納税がある場合には、都道府県税事務所にも廃業の届出の提出
  • ◎直近数年が免税事業者であった場合でも、過去に消費税課税事業者であったままになっていることもよくあるので、消費税の課税事業者でなくなった旨の届出書・課税事業者選択不適用届出書の提出

2.各種契約の解除

失念しやすいのがリースなどの契約の解除です。
コピー機、車 電話機など個人事業で使うために借りているものがあれば契約を適時解除してください。

廃業のタイミングはいつにするか

廃業のタイミングはいつにするか  廃業を決めると、すぐにでも終わりにしたくなる方もいらっしゃると思いますが、廃業の時期にもタイミングがあります。
 廃業を決めた後、お持ちの資産を売却・廃棄処分することや、従業員の保障・賃貸していたら物件の解約など案外しなければいけないことも多く、更に費用が掛かります。所得税法63条の規定があり、廃業後にかかるそれらの費用は、“概ね税務署も否認しません”から経費化することを考えると年末前の11月または12月の廃業とすることが望ましいのです。

失業保険はあるの?

失業保険はあるの?  通常サラリーマンでしたら、失業すると労働保険制度により失業保険が一定期間もらえますが、個人事業主の場合にはいわゆる勤め人ではないため、残念ながら失業保険はもらえません。
 ですが、確認して頂きたいのは失業保険の代わりになる小規模企業共済や所得補償保険の加入をしているかです。どちらかにでも加入していれば、廃業後の生活保障のために保険金が受け取れように保険金の支払いの請求手続きを遅滞なくしてください。

廃業後の生活について

廃業後の生活について  「今までの蓄えや年金で生活していく」、「新しい仕事を探す」、「家族に扶養してもらう」など選択肢はいろいろあります。
 年齢の高い方でしたら、年金と今までに蓄えた資産で生活していくこともできますが、毎年納税するほど事業が順調でありながら後継者がいないため廃業するような場合には、M&Aという選択肢も考えることをおすすめします。このところM&Aによる事業承継も活発になっています。
 家族のことを考えると再就職する場合には、なるべく早く再就職する方が望ましいと言えます。最近は就職事情も活況なようですが、年齢が上がればやはり再就職は狭き門となることが予想されるからです。ただ、再就職する際の強みとして、あなたが開業に要した企画力・書類作成能力や経営を行ってきた間の運営力・ノウハウとして得たものをアピールすることができます。
 最後に、営んできた事業に係る会計税務を頼んでいた税理士がいる場合には、廃業にあたり必要な届出書類の作成などの手続きは、過去にお願いしていた税理士に関与してもらうことをお勧めします。なぜなら、提出すべき沢山の書類があること、そしてあなたの事業の経緯や申告内容や人となりを把握しているので、廃業に際して適格なアドバイスをもらえ、スムーズに手続きをすすめてくれるからです。もちろん、税理士へ支払う報酬も経費になります。

 今回は個人事業の廃業についてまとめてみましたが、最近は会社(法人)の廃業(解散)も増えています。会社を終わりにするには、解散、清算の手続きなどさらにいろいろな手続きが必要になりますので、顧問税理士と十分にご相談ください。