平成29年度の税制改正より、平成29年分の確定申告から医療費控除には領収書の提出が不要となり、その代わりに医療費控除の明細書の添付が必要となりました。医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、明細書への記入を省略できます。ただし、医療費の領収書は自宅等で5年間保存する必要があります。なお、移行措置として平成31年分の確定申告までは医療費の領収書の添付または提示によることもできます。

 医療保険者とは、医療保険事業を運営する団体のことで、国民健康保険組や後期高齢者医療広域連合、社会保険の医療保険者はその会社や事業所が加入している保険組合で、協会けんぽや各種健康保険組合などがあります。各医療保険者からは、かかった医療費が記載された医療費のお知らせが2~3か月おきに葉書などで届きますので、必ず保存しておきましょう。このお知らせ葉書の名称や形式、対象診療月は医療保険者によって異なります。この医療費のお知らせは、再発行してもらえないこともあるようなので捨てないように注意が必要です、

 この医療費通知は翌月にすぐに届くのではなく、例えば11月、12月診療分については翌年3月に送付になったりするので、その分については確定申告に間に合わないので領収書と医療費控除の明細書の作成が必要となります。このように確定申告期までに1年分の医療費通知が揃わないのは、この制度の使い勝手を悪くしており、何か良い方策はないものでしょうか。

 なお、医療費控除の対象になるものが、すべて医療費通知に記載されているわけではないので医療費控除の対象となると思われる領収書は捨てずにとっておいたほうが良いです。

 高額医療や障害者医療などで市町村などから医療費助成や公費負担金があった場合、加入している保険会社から給付金や保険金などをもらった場合は支払った医療費からその金額を差し引いての申告となります。医療保険者は、あなたが保険会社からの支払いを受けたことはもちろんですが、市町村などから助成金や負担金を受け取ったことは把握しておらず、さらに医療費通知にも記載はないので、医療費控除の際には差引きを忘れないよう注意が必要です。

 詳しくは、国税庁のHPを参照下さい。