役員の変更がない場合でも12年間登記を行わないと、株式会社は「みなし解散」される可能性があります。
会社法が平成18年(2006年)5月1日施行されたことにより、役員の任期等が大幅に改正されました。その後も平成27年(2015年)2月27日商業登記規則改正、平成27年(2015年)5月1日会社法改正、平成28年(2016年)10月1日商業登記規則改正により、必要書類や登記事項が変更になっています。ケースに応じて、役員登記に必要な書類をまとめてみました。
登記申請書や議事録の記載例は法務局HPの商業・法人登記申請手続にケースごとに掲載されています。あわせてご確認ください。
①新しく役員に就任する場合
株主総会議事録 | 1通 |
株主リスト | 1通 |
就任承諾書 | 1通 |
就任する者の印鑑証明書 (有限会社・取締役会を設置していない株式会社) |
1通 |
就任する者の本人確認証明書 (取締役会を設置している株式会社) |
1通 |
印鑑証明書・住民票・運転免許証のコピー等のうち、1つを本人確認証明書とします。
②役員が辞任する場合
辞任する取締役・監査役の辞任届 | 1通 |
代表取締役が辞任する場合は個人の実印又は会社の実印を押印した辞任届が必要です。個人の実印を押印した場合は印鑑証明書も必要です。
役員が辞任するとき、定款で定めた定数を下回ってしまう場合は新役員の登記と同時でないと辞任の登記はできません。有限会社は取締役が1名でもかまいませんが、1名の場合代表取締役と登記することはできません。株式会社は取締役が1名でも代表取締役と登記できます。
③役員が死亡した場合
死亡した者の除籍謄本又は親族からの死亡届 | どちらか1通 |
死亡の場合は、定款で定めた役員定数を下回っても登記はできますが、できるだけ早く後任の役員の登記の必要があります。
④ 代表取締役が交替して取締役として残る場合および
現在の代表取締役の他に新たな代表取締役が就任する場合
辞任届 説明は②をご確認下さい。 |
1通 |
株主総会議事録または取締役会議事録 定款で代表取締役をどちらで選定するか確認してください。 |
1通 |
株主リスト 取締役会で選定した場合は不要です。 |
1通 |
就任承諾書 | 1通 |
新しく代表取締役に就任する者の印鑑証明書 | 1通 |
印鑑届 会社の実印登録をする場合必要です。 |
1通 |
⑤代表取締役が辞任して取締役として残らない場合
辞任届 説明は②をご確認下さい。 |
1通 |
株主総会議事録または取締役会議事録 定款で代表取締役をどちらで選定するか確認してください。 |
1通 |
株主リスト 取締役会で選定した場合は不要です。 |
1通 |
代表取締役の就任承諾書 | 1通 |
現任役員全員及び代表取締役に就任する者の印鑑証明書 | 各1通 |
印鑑届 | 1通 |
⑥代表取締役が死亡した場合
株主総会議事録または取締役会議事録 定款で代表取締役をどちらで選定するか確認してください。 |
1通 |
株主リスト 取締役会で選定した場合は不要です。 |
1通 |
死亡した者の除籍謄本または親族からの死亡届 | どちらか1通 |
現任役員全員及び代表取締役に就任する者の印鑑証明書 | 各1通 |
印鑑届 | 1通 |
⑦役員の住所及び氏名変更
住民票と同じに登記する必要があるので、住民票等で確認しますが、住民票の提出は必要ありません。婚姻前の氏も登記できます。(旧姓を併記します) この場合、登記の際、戸籍抄本等氏の変更が確認できる書類の提出が必要となります。
⑧監査役の監査の範囲の登記
法律では、業務監査(取締役の職務の執行が法令・定款を遵守しているかを監査する権限をもつ)を行う監査役と会計監査だけを行う監査役がありましたが、登記簿では明確でなかったために設けられた規定です。
平成27年(2015年)5月1日より「監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めがある」旨の登記が必要となっています。定めのある会社は平成27年(2015年)5月1日以降最初の監査役の変更登記の時までに忘れず、定款を添付して、登記をする必要があります。会社法が平成18年(2006年)5月1日施行された後、定款を変更していない会社は、「代表者の作成に係る証明書」を定款のかわりに提出することができます。
会社法の改正もありましたし、まだ、定款を変更していない会社は早期の変更をお勧めします。
提出書類に添付する印鑑証明書は原本となります。個人の印鑑証明書を提出した方は、登記書類にも個人の実印を押印する必要があります。印鑑証明書が必要のない方はシャチハタ以外の認印で大丈夫です。
登記完了まで1週間前後の日数がかかります。書類提出の時に、完了予定日を確認してください。法務局に会社の変更登記を依頼している間は、会社の謄本や印鑑証明書は取得できないので、注意が必要です。
株主リストについての補足説明
全ての登記申請に必要ではなく、株主総会議事録を添付する申請で必要となります。
取締役会の決議だけで申請できる支店設置や取締役の住所変更などの登記では添付する必要がありませんが、役員の選任、目的や商号変更など株主総会議事録の添付が必要な登記には必要です。ご注意ください。
株主リストの記載内容
A.議決権数上位10名の株主
B.議決権数の多い順に記載した株主が議決権の割合3分の2に達するまで
AかBでいずれか少ない人数の株主について次の事項を記載します。自己株式は含まれませんが、株主総会を欠席している株主もリストに入れます。
①個人の場合は株主の氏名、法人の場合は株主の名称
②住所
③株式数
④議決権数
⑤議決権数の割合
この5点を記載したリストに代表者が会社の実印を押印して証明します。
別紙「証明書」はさいたま地方法務局に当事務所で提出している株主リストの例ですが、詳細は法務省HPをご確認ください。
株主名簿は備え置かれていますか?
株主名簿は会社法でも備え置きが定められています。きちんと備え置かれている会社では簡単に作成できる「株主リスト」ですが、整備されていない会社、特に名義株主や連絡がとれない株主のいる会社では早期に整備しておく必要があります。
役員変更登記等についてご不明な方は遠慮なくご相談ください。また、当法人で変更登記を行うこともできます。