相続時精算課税制度とは?

 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に対し、生前贈与をした場合、子または孫の選択により利用できる制度です。

 相続時精算課税の適用を受けた贈与財産については、贈与者が亡くなり相続が発生した時に、その贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

 相続時精算課税制度は2,500万円の特別控除があり、複数年にわたり限度額に達するまで何回でも控除することができ、2,500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります。(ただし、暦年課税の基礎控除(110万円)の利用はできません)

 この制度の創設時には2,500万円まで贈与税がかからないという理由でこの税制を使った方も多いはずです。

  • 平成15年(2003年)の相続税精算課税制度創設から20年余り経過し、申告書類を紛失して適用した金額が分からない
  • 相続人がこの制度を適用したこと自体を忘れてしまった
  • 相続人同士が不仲となり確認できない

 相続税の申告において再三の聞き取りにもかかわらず、相続時精算課税制度を過去に利用したことがあるという確認ができないこともあります。
 相続税申告時にこの持ち戻しを忘れると明らかな申告漏れですので、税務調査の対象になる確率が極めて高くなります。

 当然のことながら税務署側には過去の贈与税の申告書類が保管されていて相続税申告書に計上漏れがないかを確認することが出来ます。

 そこで計上漏れを防ぐ手段として、申告内容の開示請求というものがあります。正式には『相続税法49条第1項の規定に基づく開示請求書』といいます。少しでも不安に思うのであればこの開示請求の提出を検討すべきでしょう。