贈与税

 贈与税は、その年の1月1日から12月31日に行われた贈与について基礎控除(110万円)を超える場合、翌年の2月1日から3月15日までに申告し納付しなければならない税金です。

 贈与には上記の暦年贈与の他に、さまざまな特例や相続時精算課税贈与などがあります。特例としては、下記のものがあります。

  • 住宅取得資金等の贈与
  • 教育資金の一括贈与
  • 夫婦間(婚姻20年以上)での居住用不動産の贈与
  • 結婚・子育て資金の一括贈与他

 贈与にあたっては贈与契約書を交わすことが必要です。
 上記の特例を使うために事前に気をつけないといけないこともあり、贈与をする・贈与を受ける前に是非ご相談ください。

 また、相続対策としても贈与がよく使われます。現金だけではなく、事業承継も念頭にいれて自社株式を事前に贈与していくことも良く行われますが、この場合は株価評価が必要となります。さらに、贈与の認識なく親子など親族間で資金移動をなさってしまい贈与の申告漏れになってしまうことも見受けられますので、資金等の移動をする前にご相談をお待ちしております。

 

事業承継

 年々中小企業経営者が高齢化してきており、事業承継に迫られている中小企業は少なくありません。事業承継には期限がありませんから、つい後回しになりがちです。事業承継を計画的にすすめれば、これまで企業が築き上げてきた技術や価値を次世代に上手く引き継ぐことができます。事業承継により生じる課税の負担を減らし、円滑に事業を引き継ぐために「非上場株式等に係る納税猶予制度」があります。

事業承継税制

― 非上場株式等に係る納税猶予制度の拡充 ―

 この制度は中小企業の事業承継を円滑に進めるために、中小企業の株式を後継者に贈与もしくは相続する時に納税が猶予される税制で、平成21年に導入されましたが、初めは手続きが複雑で要件が厳しいことから利用があまり進んでいませんでした。そこで、平成25年と平成29年に改正が行なわれ、手続きが簡素化され、より使いやすくなってきました。

 平成29年改正では、贈与税の納税猶予制度に相続時精算課税制度を併用できるようになり、認定が取り消された場合に高額な贈与税負担が生じるリスクが軽減されました。

 さらに平成30年改正では、既存の「事業承継税制」が一層拡充されて、「事業承継税制の特例」となり、先代経営者から後継者への自社株の贈与や相続では、要件をみたせば贈与税と相続税の支払いが猶予されるので、今後の利用は増えると思われます。

 平成30年の特例を使うにはまず特例承継計画を令和6年3月31日までに提出することが必要です。特に、相続の時にこの猶予制度を使う場合は、経営者が亡くなってからこの制度を使おうとしても要件をクリアできずに使えないという事もあるので、生前からの事前対策が重要です。詳しくは国税庁の「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(令和2年4月)」や当事務所の【大幅に拡充された改正事業承継税制の案内】をご覧ください。

 事業承継を考えられている方は、この制度が活用できるか早めに検討してみてはいかかでしょうか。この税制を利用した非上場株式の贈与税の納税猶予制度の申告例があり、管轄税務署でこの税制利用の第1号と思われます。事業承継をお考えの方はお気軽にご相談ください。