休眠会社等には法務局からみなし解散の通知書が届きます。

法務局からみなし解散の通知が届いたとき、すぐに登記を行ってください

 登記をすることで、解散はまぬがれますが、法令に違反していたということで、代表者には過料(罰金)が請求されます。

 「通知書」が届くほかに「官報」にも公告されています。通知書が届かなくても官報公告を見て、自分の会社が対象か確認できるということですが、官報の掲載はあまりわかりやすいものではありません。
 官報はインターネットでも閲覧できますが、令和5年(2023年)10月12日発行の「官報第1080号10頁」に『会社法第472条第1項の届出に関する公告』、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項の届出に関する公告』、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第203条第1項の届出に関する公告』が法務大臣名で掲載されています。
 ここに2か月以内に登記または『まだ事業を廃止していない』旨の届出をしないと解散したものとみなす旨が記載されています。

増加していくみなし解散の会社

 平成26年度以降、法務局では毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っています。事業を廃止した実体のない会社がいつまでも登記されているのでは登記の信頼を失いかねないこと、休眠会社が売買され犯罪等に使用されることの防止等の理由から、みなし解散が登記官の職権で実施されています。来年以降も毎年10月を基準日に実施される予定です。

 毎年みなし解散の会社・法人数は増加する一方です。取引先の企業からみなし解散されていないかの問い合わせが来たお客様もあり、取引先から定期的に最新の履歴事項証明書(謄本)の提出を求められているケースも見受けられます。
 お客様ではありませんが、実際に謄本をを取りに行ったら会社が解散していたと慌ててご相談を受けたこともあります。

みなし解散後の手続き

 みなし解散後3年以内に限り、会社継続の登記申請ができますが、余分な手間と費用がかかります。解散状態の解消の登記をしても、謄本にみなし解散の記録は残ってしまうので、会社としての信頼性にもかけてしまいます。みなし解散される前に役員変更等の登記をすることをお勧めします。

令和5年度の休眠会社等の整理について

 令和5年(2023年)10月12日を基準日として、12年以上登記をしていない株式会社(一般社団法人及び一般財団法人は5年)に通知が送られ、登記または「まだ事業を廃止していない」旨の届出を2か月以内に行わないと令和5年(2023年)12月13日付で解散登記されることになります。
 令和4年(2022年)に通知書が届いて、まだ事業を廃止していない旨の届出を法務局に提出したからと安心してはいけません。そのまま1年間登記を行わなかったら、今年度も「みなし解散」の対象となってしまいます。
 登記の方法等の詳細は法務省のHPをご参照ください。

 「みなし解散」の通知が届かなくても、最後に登記をした年月がわからない方は、最新の謄本をとって自分の会社の状態を確認して下さい。本店移転や商号変更をしていたために通知書が届かず、気が付かないうちに解散登記されてしまっている可能性もあります

令和4年度にみなし解散された理由

 12年間登記を行わなかった株式会社で、法務局から通知書が送られてきた、もしくは通知書が届かなかったので定められた期日までに登記の申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなかったからです。
 12年以内に謄本や代表者の印鑑証明書の交付を受けたかどうかは関係ありません。役員には任期があるので、同じ人がずっと役員だったから登記をしなかったという言い訳は通用しません。

 平成18年(2006年)5月の会社法施行により、株式譲渡制限に関する規定がある株式会社では役員の任期を10年以内であれば自由に決められるようになりました。当事務所では任期満了の時期には必ず登記のご案内をしていますが、自分で管理されている場合、10年にしてしまうと忘れがちです。あっという間に12年が経過してしまい、みなし解散されてしまうことのないようにご注意下さい。

 

みなし清算結了はあるか

 みなし解散登記後、3年が経過すると会社の継続登記ができなくなります。放っておくと法務局がみなし解散登記をしてくれて、さらに3年経つと自動的に清算結了してくれると勘違いしている方も多いようですが、法務局は清算結了登記はしてくれません
 会社の登記を完全に閉鎖するには、解散登記後、清算結了登記を行うことが必要です。

 商業登記規則第81条第1項に「解散の登記をした後10年を経過したとき、登記官は当該登記記録を閉鎖することができる。」とありますが、できるということですので、10年で必ず閉鎖されるかははっきりしません
 また、同規則第81条第3項に「第1項の規定により登記記録を閉鎖した後、会社が本店の所在地を管轄する登記所に清算を結了していない旨の申出をしたときは、登記官は、当該登記記録を復活しなければならない。」ともあり、登記を復活することも可能なのです。
 確実に会社を閉鎖したいときは、清算結了登記を行って下さい。

 

まとめ

 役員変更・本店移転等の登記は原因の発生した日から2週間以内に行うことと法令にも定められています。あまり遅れてしまうと登記の「懈怠(けたい)」となり、会社の代表者個人が過料(罰金)を支払わなくてはいけなくなってしまいます

 また、有限会社には役員の任期の定めがないので、みなし解散はありませんが、手間や費用がかかるので、倒産や廃業したままになっているケースが数多くみられます。実体のない有限会社が登記上残っている現状は今後の課題となると思われます。

 会社の登記に関する依頼やご質問は、遠慮なく当法人にお申し付け下さい。