経営者の皆様は、補助金や助成金をうまく活用してみたいと考えたことはございませんか?
 まず、補助金と助成金について簡単に説明いたします。

 ●補助金
  国または地方公共団体に申請書を提出し、審査の結果交付が決定される。

 ●助成金
  受給要件が満たされていれば、原則として受給される。

 ご覧のとおり、経営者の皆様にとってハードルが低く受給しやすいものは助成金の方です。では、受給されやすい助成金の例として、特定求職者雇用開発助成金・トライアル雇用助成金が代表的なものとして挙げられます。
 特定求職者雇用開発助成金は、高齢者や障害者等を事業主が雇用することで受給される助成金です。例えば65歳以上の高齢者の雇用に関しては生涯現役コースというものがあります。受給要件としては、雇い入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが確実であると認められる事です。この場合短時間労働者以外の場合最大で70万円、短時間労働者の場合は最大で50万円支給されます。

 一方、補助金は経営者にとってハードルの高いものと感じるかもしれません。その理由を見ていきましょう。

補助金のハードルが高いと感じる理由

理由その1:募集期間が短い

 補助金の募集期間は通常1~2ヶ月です。経営者の皆様が補助金申請を検討した時には、募集期間が終了していたという経験があるかと思います。つまり、補助金を活用したいのであれば常に補助金に関する情報にアンテナを張っておかなければなりません。

理由その2:申請書の書類作成が手間

 補助金申請において事業計画書を作成する必要があります。事業計画書では「補助金を活用するに当たっての取り組み」や「補助金の収益効果」を記載し、その投資が何年間にわたり収益をどのくらい増加させるか、費用の削減をどのくらい行えるかを数値化し、その上で補助対象となる経費額を細かく記載することになります。

理由その3:審査通過率がそれほど高くない

 事業計画書を手間暇かけて記入したとしても、申請した全ての企業が補助金を受給できるとは限りません。申請者のうち審査を通過できるのは40~50%で補助金によっては10%しか審査を通過できないものもあります。

理由その4:補助金の交付が決定後も手間がかかる

 補助金の交付が決定したとしても、すぐに補助金が受給されません。そのあと、実施報告書等を作成する必要があります。実施報告書の検査を受けて補助金の額が決定し通知されます。更に請求書を提出してようやく補助金が支給されます。

理由その5:事後報告が必要

 補助金の受給後に主に補助金の効果について報告義務が発生します。補助事業完了後5年間は状況報告書を提出する必要もあります。

 以上の様に補助金の受給には大変手間暇がかかるものとなっています。しかし、補助金申請は次のメリットより申請した方がよい場合が多いです。

補助金を申請する意外なメリット

理由その1:キャッシュ・フローの状況が改善する。

 設備投資をするのに、金融機関などの融資を受ける場合は利息の支払によるキャッシュ・アウトが増加します。最近は日銀のマイナス金利政策の影響で借入利息の利率は減少しているものの融資の場合キャッシュ・フローは減少します。しかし補助金の受給を受けた場合には、金融機関の融資と異なり将来補助金の受給額を原則返済する必要もなく利息の支払も無いのでキャッシュ・フローは増加します。

理由その2:機会損失を防ぐ

 補助金の受給があった場合には、会社のキャッシュに余裕ができます。これを他の設備投資や人材確保の獲得資金に支出することで将来得られる利益が確実に増えるのであれば、資金が確保できない為必要な設備投資ができないとか、その時点であれば優秀な人材を獲得でき資金が無く獲得を断念したなどにより、本来であれば得られた利益を逃すことを補助金の受給により防止する事にもつながります。

理由その3:国からのお墨付きにより信用度が増す。

 補助金の受給には国の厳密な審査を得て決定しますので、採択されたとなるとそれ相当の会社であると国が認めて補助金を受給するという事になります。よって、金融機関の融資の際に通常の会社より利率が低くなったり返済までの期間が長くなるなど、資金調達の際に好条件で融資を受けられる可能性が高まります。

理由その4:補助金申請に価値がある

 作成が手間と感じられる申請書は、経営の参考になります。先述したとおり申請要件の中に補助金の効果を申請する書類があります。申請を審議する者に向けて必要性を訴えかけるものです。そのため、補助金対象となるサービスや物が自社に役立つのか正面から向き合う機会となります。

 補助金の代表的なものとしては、創業補助金やものづくり補助金、販路拡大補助金などがあります。販路拡大補助金には、ホームページの作成に補助金が受給されたりします。詳しくはホームページ作成補助金をご覧ください。

 経営者の皆様は、補助金の申請の煩雑さより補助金の申請を考慮しない方が多いように思われます。ちなみに、ものづくり補助金の場合、平成29年度の第一次公募では補助金の採択率は約55%でした。ものづくり補助金の上限は1,000万円ですので申し込めば半分の確率で1,000万円受給できる可能性があるのです。会社が通常業務1,000万円の利益を計上するのは、大変であると思われます。会計事務所の目線からすると経営者の皆様が、通常業務で1,000万円の利益を獲得する事のほうが、補助金の申請を作成するよりもより複雑かつ煩雑で並々ならぬ努力が必要であり、同じ1,000万円を獲得する煩雑でいえば、補助金の申請の方がハードルが低いように思われます。

 補助金の受給は煩雑なところはございますが、経費の負担を抑えなどのメリット等から是非とも経営者の皆様には活用していただきたいと思います。また、当法人は認定支援機関ですので、補助金の申請書の作成などのサポートもしております。