平成30年(2018年)の税制改正により、既存の「事業承継税制」を拡充した「事業承継税制の特例」が創設されました。

 この特例を利用すると、先代経営者から後継者への自社株の贈与税と相続税が猶予され、要件を満たせば贈与税や相続税の支払いをなくすことができます。この特例を使うためには、事前に認定書(特例承継計画)を提出し、贈与や相続時には所定の資料を添付した申告が必要となります。申告後も一定期間は税務署や都道府県に届出書等の提出が必要になります。
 特例承継計画の提出期限は令和6年(2024年)3月31日までとなっております。
 この特例承継計画を提出した場合でも、この事業承継税制の特例を将来必ず使わなくてはいけないというわけではありませんので、この特例利用の可能性がある会社様につきましては、まずこの特例承継計画書を提出しておいたほうがよろしいと思われますのでぜひご検討ください。

事業承継税制適用までの流れ

①事業承継税制の要件確認

 必要資料を提出していただき、各種要件(会社の要件、先代経営者の要件、後継者の要件)を現在満たしているかを確認し、満たしていない場合は要件を充足するための施策を検討します。

②特例承継計画の策定

 当法人が、貴社の現状を分析し認定経営革新等支援機関として特例承継計画を作成します。

③特例承継計画の提出

 都道府県に特例承継計画書を提出します。

④贈与実行や相続開始

 贈与実行や相続開始後に定められた期日までに認定申請を行います。

⑤贈与税や相続税の申告

 定められた期日までに認定書等を添付して提出します。

⑥申告後5年まで

 申告後5年以内は税務署と都道府県に継続適用に係る書類を年に1回提出していきます。

⑦申告6年目以降

 税務署に継続届出を3年に1回提出します。

 事業承継税制を適用した場合の流れはおおよそ以上の通りです。③の特例承継計画書の提出までは済ませておき、④で申告時にこの税制を利用するかしないかは選択できます。
 ④でこの税制を適用すると贈与税や相続税の支払いは猶予されますが、贈与税や相続税の申告後は要件を満たすための管理や手続きが長期にわたって必要となり、それに伴い費用も発生しますので、十分なご検討の上でのこの税制の適応をおすすめいたします。

費用について

A)特例承継計画の策定提出まで(①から③まで) ・・・ 90,000円(消費税別)
まずはここまで準備しておくことをおすすめします。
B)贈与税申告や相続税申告まで(④と⑤)    ・・・ ※別途費用
贈与や相続の評価額に応じて費用は別途となります。
C)申告後の継続適用の届け出(⑥と⑦)     ・・・ ※次項参照
申告後5年間   ・・・ 4万円/年(消費税別)
申告後6年目以降 ・・・ 3年ごとに4万円(消費税別)

 なお、複雑な事案については、上記基本料金に加算報酬を承ることがあります。

株価評価について

 決算書の貸借対照表から株価は概算することができますが、事業承継税制適応を検討するにあたり、申告要件を満たす株価評価が必要になることがあります。会社の規模や保有する資産により株価評価には別途費用がかかります。